【第11回】理想の滞在のススメ〜八-心心苑-〜

伝統が今も息づく街


京都と言えば、どんなイメージがありますでしょうか??


祇園や嵐山を始めとする歴史の残る地域には、普段ではちょっと手が出せないようなお店が多々あるかと思います。ふらっと入ったお店が、芸能人の通うお店や政界の方の行きつけのお店だった。ということもザラではありません。日常的にそんなお店に通い詰めることはできませんが、たまには頑張ったご褒美としてちょっと贅沢してみたい。せっかく京都に来たのだから、お金云々よりも素敵な思い出が作りたい。友達や家族の特別な記念日でお祝いしたい。そう思っている方に是非ご紹介したい宿が西陣にあります。


西陣は京都の伝統が色濃く残り、耳を澄ませば職人さんの息づかいが聞こえてくる場所です。今回はそんな西陣の高級一棟貸し宿【八-心心苑(はち-しんしんえん)】の田中靖人(たなか やすひと) さんにお話を伺いました。


築160年の伝統建築の建物


田中さん:八-心心苑は、築160年の大きな町家を改装した宿です。自分の別荘のような感覚で誰にも邪魔されず、ゆっくりと京都での滞在を楽しんでいただきたいと思っています。滞在中びっしりとスケジュールを組んで、忙しなくあちらこちら行ったりするような従来の観光旅行ではなく、1日どこへも行かず、何もしなくてもいい。宿で思いのまま滞在を満喫する楽しみ方も心心苑では提供していきたいと思っています。また、宿は築160年の伝統建築の建物で、障子や欄間をはじめ、建物自体も江戸時代のものをなるべく残していますので、当時にタイムスリップしたような感覚で過ごしていただけると思います。


伝統的な町家内部の特徴


町家の定義はご存知でしょうか??せっかくですので、宿をご案内する前に町家の造りについてお話させていただきます。玄関を開けると、1本道の通路が突き当たりまで見えると思います。町家には、この「通り庭」と呼ばれる1本の道があります。「うなぎの寝床」と言われるように、京都の町屋の造りは奥に長いため、部屋の奥にも光や風が行くようにこのように1本道になっています。



こちらが、当宿の玄関です。昔は今のようにクーラーなど冷暖房がなかったため、換気や光が入るように自然をうまく利用したつくりになっているんです。


町家外観の3つの特徴


建物の表側には3つの特徴があります。1つ目は、こちらの茶色のカーブを描いた垣根です。これを「犬矢来(いぬやらい)」と言います。犬や猫がたむろして、家の壁におしっこをるのを避けるために作られたものです。



犬矢来の上に、窓が見えますでしょうか??これは紅殻格子(べんがらごうし)と呼ばれる木を縦と横に組み合わせ窓です。黒色に塗っていますが、昔は濃い朱色で、煉瓦色(レンガ)のような色をしていたので、紅殻(べんがら)と呼ばれています。中から外は見えるのですが、外から中が見えにくく、防犯の役割にもなっているんです。これが2つ目の特徴になります。町家には、この紅殻格子や虫かごのような虫籠窓(むしこ窓)など、窓にも特徴があります。



また、京都の街中で町家を通りがかった時に、石でできた置物を見た事はありますでしょうか??この置物は「鍾馗(しょうき)さん」と言い、建物のどこかに必ずあるはずです。町家では鬼瓦が使えなかったので、代わりに鍾馗(しょうき)さんが、魔除けのために配置されています。


犬矢来(いぬやらい)、紅殻格子(べんがらごうし)、鍾馗(しょうき)さん。この3つが町家の条件とも言われているのです。



最後にもう一点だけ、町家が発展したのは豊富秀吉(とよとみひでよし)が改革をした室町の末と言われていますが、その当時は家の間口(まぐち)が広いと固定資産税が高くなると言われていました。そのため、京都に残っている町家は間口が広く、奥に細長い作りになっているのだそうです。



続いて、宿の説明に移りたいと思います。まず、通り庭を奥まで進んでもらうと京都に深く関わりのあった魯山人、柿右衛門をはじめとする、様々な名陶工の器があります。実際に宿内でお食事を取られる方はこちらに並べられた陶器を使ってお食事を楽しんでいただくことができます。


宿の中庭に鎮座する貴船石(きぶねいし)


館内に入ると、貴船石(きぶねいし)という大きな石が中庭の中央に鎮座しています。その名前通り、貴船神社近くの場所から運ばれた石なのですが、この建物が経つ前に移築したものです。特徴としては、石の色が紫色に見えます。この紫色が綺麗なほど貴船石には値打ちがあると言われており、現在は京都の条例で貴船の石は動かしてはいけないことになっています。なので、ここに鎮座する石もこの場所からは動かすことはできません。 


この貴船石も朝方と夕方には綺麗な紫色に映えると思います。パワーストーンとしても有名なので、宿泊される方の中でこの石を触られる方も多いですね。ちなみに重さは8トンあると言われています。昔の人はどのように運んだんでしょうね!?不思議です。



こちらがお部屋になります。2名様で宿泊されることが多いのですが、最大8名様まで宿泊可能です。



暁(あかつき)のお部屋です。朝日が一番先に入って来るお部屋になります。八畳の居間と奥には寝室に、檜(ヒノキ)風呂があります。お風呂は24時間いつでも楽しんでいただけます。



こちらは宙(そら)のお部屋になります。書院造りの十二畳の居間で中庭を眺めることができます。1部屋ではなく、宿泊された方は貸切で全てのお部屋が使えますので、広々と使っていただけるかと思います。



1階と2階のお部屋には画家の千住 博(せんじゅ ひろし)さんが滝をイメージして描いた掛け軸が掛けられています。



こちらは中庭とは別のお庭です。手前の山から湧き出た水が、川を伝って、橋の向こう側の海へ流れていくというイメージになっています。お庭は特に秋が人気になりますが、椿や紅葉をはじめ、四季ごとに色とりどりのお花が楽しめます。



こちらは茶室です。炉もありますので、お茶を立てていただいても良いですし、宿泊費とは別料金になりますが、事前予約をしていただければ、裏千家の先生に来ていただいてお茶を立てていただけます。また、丸くなっている障子の部分は見えますでしょうか??この雪見障子ですが今、円の格子を作れる職人さんはほとんどいないんです。なので、江戸時代から残っているものをリメイクしてそのまま残しています。



というわけで、心心苑では誰にも邪魔をされず、ゆったりと京都の滞在を満喫していただければと思います。なお、小学生未満の方はご滞在不可とさせていただいております。乳児のお子様は宿泊可能なのですが、立ち歩きができるわんぱく盛りのお子様ですと、階段も町家ながらの急な作りですし、江戸時代に作られたガラスなどをそのままの状態で使用しているので、もし万が一壊れた場合には、再生が困難なものばかりです。実際破損した場合にお客様に負担していただくのもどうかと思いますので、大変恐縮なのですが予めお断りさせていただいております。中学生以上のお客様から宿泊を受け入れております。ファミリーのお客様の場合、ご両親の還暦や喜寿などのお祝いごとで当宿をご利用していただくことも多いです。


「八-心心苑」滞在時のオススメの過ごし方


当宿では、コンシェルジュサービスも行なっていますので、お食事でどのようなものが食べたいか、アレルギーの有無などをお知らせいただければ、ご希望にあうお店のご予約・ご案内もしております。もし、お宿でのお食事を希望される場合は、懐石料理などを手配させていただいております。



朝食も一品一品、温かいものは暖かく、冷たいものは冷たくと、老舗の料理人の方が厨房で直接作ったものをご提供させていただいています。


西陣を出発点に京都の名所を巡る


朝食を召し上がりになった後、サクッと観光できる場所ですと、北野天満宮が近くにあります。菅原道真にゆかりのあるお寺で、梅や紅葉の名所です。菅原道真は学問の神様として知られており、多くの受験生が足を運んでいます。



北野天満宮に行かれたあとは金閣寺も近くにありますので、そのまま行かれる方が多いですね。金閣寺は、1950年に一度放火により、全焼しております。火をつけた修行僧ですが、放火の動機を「金閣寺の美に対する嫉妬」と供述したようです。このことは三島由紀夫が書いた小説『金閣寺』にも紹介されております。「火をつけたくなるほど美しい」京都の代表のお寺です。


「SEIMEI」-陰陽師が祀られる神社


晴明神社は、「陰陽師」の安倍晴明(あべのせいめい)を祀った神社です。つい先日、平昌(ピョンチャン) オリンピックのフィギュアスケートで連覇を達成された羽生結弦選手の「SEIMEI」のモデルとなったのが、この安倍晴明です。実際に羽生選手も参拝され、祈願の絵馬もあるそうです。



社内には、晴明井(せいめいい)という安倍晴明が念力によって湧かせたという言い伝えのある井戸があります。千利休が豊富秀吉にお茶を建てる時に水を組んだ井戸とも言われています。


金運が上がる?黄金の神社


晴明神社を参拝されたあと、御金神社(みかねじんじゃ)も歩いていけます。 御金神社は天照大神(あまてらすおおみかみ)と月読神(つきよみのかみ)が祀られており、ご利益のある黄色のイチョウの形をした絵馬が沢山つるされています。金運が上がるとされるイチョウ色の「福財布」(1000円)は売り切れになるほどの人気があります。また、御金神社のおみくじの中には普通のお寺のおみくじとは違い、「大大吉」が中に入ってあるんです。これを引いたら金運アップ間違いなし!


西陣の織物文化に触れる

(画像提供:http://nishijin.or.jp/nishijin_textile_center

西陣織会館では和装の美しさが味わえる「きものショー」が毎日開催されております。着付けや和装の教室もありますので、京都西陣の文化や歴史が体感できます。 


私が思う京都の魅力


私は洞察力が鋭いところが京都人の魅力なのではないかと思っています。 なぜ洞察力が鋭いかというと昔の京都では今日明日、明後日と毎日のように国を治める大将や政治がコロコロと移り変わっていました。 例えば、戦国時代だと今日は織田信長、3日後は明智光秀、その10日後には豊臣秀吉になっていたりして、頂点に君臨する大将が目まぐるしく変わるような時代がずっと続いていました。 戦国時代より前の平安時代でも何百年間も政治がすぐに変わる時代です。 そういうこともあったのか、京都の人間は政治とか社会の動きに対して敏感だったと思います。


その時々の大将に合わせて生きて来たので、表立った発言というより影でお話をされることが多いのだと思います。京都の人はあまり良くないイメージはありますが、それも京都らしい一つの魅力ではないかと思います。 世の中の動きに敏感で、早く取り入れては自分たちの色に染めた後、もう一度世の中に送り出すことにすごく優れていることや、新しいものや古いものを取り入れて、それをうまく組み合わせて世に出すのが上手だと思います。 

 

町家にしても、随分と古い建物なので、単純に壊してしまってマンションでも立てれば良い話ように思えるのですが、古いものと新しいものを掛け合わせて新たなビジネスの形態を生み出しています。 そのように、伝統と革新をうまく使えるのが京都の良いところなので、外国の方に楽しんでいただけるのではないでしょうか。これからもそのように京都の街は発展して行くのだと確信しています。 若い方にも新しいものと古いものを組み合わせて、何か新しいものを世の中に送り出してもらえる街であって欲しいと思います。  




八ー心心苑 田中靖人さん、ありがとうございました! いかがだったでしょうか?京都の伝統の残る西陣で、名工の作った陶器や、美術的価値のある家具など、「本物」が実際に味わえる宿は京都でも中々ないのではないでしょうか。 ここだけの話、もともと貸切は1泊40万円だったようです。貴船石を始め、寝具、お風呂やお庭、江戸時代から残る伝統的な町屋の建築。それだけの価値がありました。 何かの記念日で特別感を味わいたい。いつもと違った旅行をされたい方はぜひ八-心心苑に滞在されてみてはいかがでしょうか??


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シェアチケットマガジン編集部 「理想の滞在のススメ〜オーナーに聞いてみた、京都の魅力シリーズ」を配信中!!

・京都にある素敵な名店
・観光客が誰も知らない隠れたお寺
・京都の人でもなかなか知らない歴史 などなど

普段生活しているだけでは気づかないことが沢山あります。

その京都の魅力を地域に一番詳しいと言っても過言ではない
ゲストハウスのオーナーさんに教えてもらいます!

もしかしたら、この記事を読めば普段とは違う京都に出会えるかも。

また、ただ宿に泊まるだけじゃもったいない。

一棟貸し宿、ゲストハウスにはオーナーさんの想いが沢山、詰まっています‼︎

宿の特徴、こだわり、どういった風にお客様に喜んでいただけるなど、小さいものだと意識しないと気づかないかもしれません。

宿の想いを知っていただくことで、ゲスト様が
少しでも宿を身近に感じ、安心して、宿泊を楽しんでもらえれば嬉しいです。

そんな宿とゲスト様の距離を近づけれるような記事をご紹介できればと思います。


もし京都のお店や観光などで気になることがありましたら、なんでもご相談ください^^

思い出に残る、素敵な旅をご提供します。

Hikaru Watanabe

#京都 # share ticket # share trip
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